PCR試薬(マスターMix)の準備
モバイルPCR装置のご使用にあたり、PCR用試薬の準備が必要となります。
PCR用試薬は大きくいうと以下を配合したものになります。
①プライマー | DNAを特定し、増幅幅に必要 | |
---|---|---|
②ブローブ | DNA増幅幅に応じて、蛍光 | |
③酵素(DNAポリメラーゼ) | DNAを増幅するタンパク質 | マスターMix |
④ヌクレオチド | DNAの基 | |
⑤バッファー | 試薬を安定化させる溶媒 | |
⑥薄め液→液量調節液 | 反応に影響しない(→分子生物学用) |
この中で①②は検出対象毎に特有のものになります。次項の「プライマー・プローブの準備」をご参照ください。
③~⑤は通称で「マスターMix」と呼ばれ、試薬各社から種々販売されています。
⑥はmolecular grade water※1 の名称で購入が可能です。
PicoGeneは反応液を流路内で移動させることで迅速反応を行うため、PCRの試薬(マスターMix)もこのことを踏まえたものをお勧めします。
選択条件の主となるものは以下の通りです。
・酵素反応速度の速いもの
・ホットスタートは抗体修飾のもの(化学修飾も一部ご利用可能)
・5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のあるもの(TaqMan®※2 プローブなどに使用可能)
具体的な酵素については測定検証例(日本板硝子ホームページ)にも記載されていますのでご参照ください。
※1)例として日本板硝子では「Invitrogen™ UltraPure™ DNase/RNase-Free Distilled Water (Thermo Fisher Scientific製)」を使用しています。
※2)TaqMan®はRoche Molecular Systems, Incの登録商標です。
プライマー・プローブの準備
プライマー・プローブは従来のリアルタイムPCR装置で使われているものが基本的に使用可能です。リアルタイムPCRは世界中で様々な研究で利用されているため、それら参考文献から適切な配列を確認することが可能です。なお検出対象用として様々なプライマー・プローブセットが販売されています。※1
既知の配列情報からプライマー・プローブの作製を行う場合、多くのメーカーが合成を請け負っています。
具体例は測定検証例(日本板硝子ホームページ)にも記載されていますのでご参照ください。
プライマー・プローブ選択(合成)時に考慮する主なポイントは以下の通りです。
- 増幅長は150bp以下をお勧めします。
- Tm値に関しては従来のリアルタイムPCR装置と同じ考え方ですが、二つのプライマー(forward、reverse)のTm値が離れすぎていない事、プローブのTm値はプライマーのTm値より数℃~10℃高い事が必要です。
- 弊社装置用プローブに使用できる蛍光色素はFAM,ROX,Cy5®です。
- リアルタイムPCR試薬には必ずFAMプローブを導入ください。
- マルチプレックスを行う場合にはこのFAM以外にROX,Cy5®を追加してください。
(PCR1100ではMAX3項目までです。) - マルチプレックスを行う場合は、各プローブのクエンチャーは、ダーククエンチャー※2をご使用ください。
- プライマーはOPCグレード、プローブはHPLCグレードをご指定ください。
※1)セット購入の場合は、例えばLightMix®シリーズが多くの検出対象のプライマー・プローブをラインアップしています。
(LightMix®はRoche Molecular Systems, Incの登録商標です)
※2)合成依頼時、ダーククエンチャーにはFAMはBHQ-1®、ROXはBHQ-2®、Cy5®はBHQ-3®がよく使用されます。
(Cy5®はGE Healthcare Bio-Sciences社の登録商標ですBHQ®はLGC Biosearch Technologies,Inc.,の登録商標です)
試薬配合のアドバイス
試薬配合時のポイントは、以下の通りです。
具体的には検査対象によります。測定検証例(日本板硝子ホームページ)の一部に配合も掲載されていますのでご参照ください。※1
※1)これまでの経験では、酵素の濃度は従来のPCR装置の場合よりも濃くする方が反応性につき良好な結果が得られております。
- マスターMixにある酵素の濃度
- プライマーの濃度
- プローブの濃度
- Mgの濃度
- 検体の投入量